ネパールにもやはりインドと同じように、赤ちゃんを抱いた子供の物乞いがいた。
子供を抱いた女性の物乞いだけでなく、子供という小道具の無い人は仔犬を抱いた物乞いなんかもインドでは多数出没して、とても私の心を惑わせていたが、子供が更に小さな赤ちゃんを抱いて 「マネー」 と哀れな声で手を差し出してくるのはもう反則じゃないか!?(´Д`;)
学校へ行きなさい、学校へ。でも、学校へも行けないほど貧しいのなら、ゆゆしき問題だと思う。
* * *
宿の近くで、赤ちゃんを腕に抱いた まだ幼い少女が私にまとわりついてきた。
「この子にミルクを買って下さい、ミルク代が無いんです、お金は要りません、ミルクを!」
「マネー」 じゃないのか?新手だ (´∀`;)
「お金無いから」
「お金は要りません、ミルクを買って。私のお母さんはいないので、私がこの子の面倒をみているのだけど、ミルクを買うお金もないの。あそこの店でミルクを売っているの。ミルクを買って。でないとこの子が死んでしまう」
あぁぁぁ、どこまでもついて来る~。そんなに私って買ってくれそうに見えるのか?私がターゲットなのは物乞いの勘なのか?
「あそこの店にミルクを売っているの。お願い、お願い」
ああ、もう仕方ないなぁ、どこ? (´Д`;)
「こっちよ」
連れて行かれた先は、普通の小さな雑貨店だった。少女が粉ミルクの缶を指差し、店のおじさんに向かって 「それちょうだい」 と言う。
「これかい?」
「違う、その隣の」
大きい缶かよ!?(´Д`;)
「それ、いくら?」
「250ルピー」
えっ、高~いっ!( ̄ロ ̄lll)
言っておくが、私だってネパールへ入ってからそんなに高い買い物はしていない。私が今まで買い物した何よりも高いじゃないか。250ルピーだとぉ?
「ダメダメ、高いじゃん。そんなお金ないよ、ごめんね~」
「えぇっ、お姉さん、お願いお願い、ミルクを買って、ミルクを!」
もう~、私から離れてよ~。私のスカートから手を離して~。
仕方ないなぁ、じゃあ、その隣の缶はいくら?
「190ルピー」
げげっ、まだ高いよ ( ̄ロ ̄lll)
ごめんごめん、私だってそんな買い物してないんだよ~、ごめんね少女…。しかし、「プリーズ、プリーズ…」 と哀れな顔でどこまでもついて来る。あぁ…。
結局、小額の札を少女に握らせた。 しかし、やはり、というか、「こんな額じゃ足りない、もっとくれ」 と懇願されたが勇敢に少女を振り切る私…。
残念無念な表情で少女に思いっきりガッカリされしまった。
* * *
本当にあの少女はミルクも変えないほど貧しかったのだろうか?
しかし、粉ミルクの缶がほんとうにそんな値段がするものだったのだろうか?あるいは、少女と店のオヤジがグルだったのだろうか?
私にはわからない。
いつも物乞いとのやりとりは、私という人間を試されているような気がしてしまう。そして、疲れる…。ちょっぴり、悲しい気分にもなる…。
あそこで高いミルクを買ってあげても私は 「飢える」 ことがないんだもの。