■ 香港経由、旅たびアジア

モロッコ編タイトル

< 団欒 2  - 内なる危険度メーター - >

町の床屋さん

< つづき >

ヤシン君の素敵な提案に、彼の家に向かうことにした私達だったが、またここで問題発生だ。ホテルへ向かうタクシーの中で突如、友達が私に囁く。

「Betty、ホントに行くの?危なくない?私は不安だよ。だって、見て、ここ」

彼女が指差すガイドブックのページには、旅先で出会った人の家に行って騙されて身ぐるみはがれた哀れな犠牲者のケーススタディが載っていた。

「ん~、ホントだね…」 (;´Д`)

ホテルの下にヤシン君を待たせておいて、荷物を置きに私達は部屋へ上がる。彼のあずかり知らない、ここ202号室で議論が白熱…。

「さっきは行くって言ったけど、やっぱりやめようよ、Betty、やめよう」

そんなこと言って、この前ミャンマーに行った時は、現地で出会った人の家に行って、家族みんなで食事したじゃないか。なんで今回はダメなんだ?雲南省の西双版納でも、現地の人によばれて家に行ったじゃないか。

どうも今回はガイドブックに載っていたのがポイントになっているようだ。

「私は、彼はOKだと思うなぁ。大丈夫だよ、行こうよ」

私は旅先での出会いはできるだけ掴まえたいし、それが旅の醍醐味だと思っている。しかし、だからと言って、誰にでもホイホイついて行っているワケではない。

私の中の危険度メーターがレッドゾーンに振り切っていたら、行かない。

ガイドブックに載っているかどうかは問題ではない。載っていても、出会う人がみんな悪い人ばかりとは限らないし、載っていなくても、一定の割合でどこの国にも悪い人はいるもんだ。

逆に、ガイドブックに 「治安は良い」 と書いてあっても、100%良い人ばかりなんてあり得ない、と思っておくべきじゃないか?

ガイドブックはヒントであって、危険か安全かは その都度自分で判断するべきだ。

こういう場合は、もう 「勘」 しかない。だって、初対面なんだもの。良い人か悪い人かは、彼の発した情報ではなく、彼と相対したときに感じる感覚、勘、が正解に近い。

「彼はどうして私達に向こうから声を掛けてきたの?昼間にあんな所にいるなんてきっと無職なんだよ。家族は家にいるの?誰がいるのか聞こうよ。それから…」

そんな 「条件」 は問題じゃないんだ。一時的に無職のときは誰にでもあるし、職業を尋ねたところで、何とでも良いようにウソはつけるんだし。あくまでも、彼自身を見て判断しなきゃいけない。

私としては、彼はOKだった。彼には無邪気な無防備さは感じられたけれど、内で何かを企んでいるような影は感じられなかった。私の中の危険度メーターは、思いっきりグリーンだった。彼はきっとOKだ。

彼を下で待たせておきながら、かな~り長い間 白熱していたが、私が負けた。

「そうか、そんなに不安なら、やめようか。それで何かあったら、責任感じるし…」

「………。わかったよ、行こう。その代わり、何か出されたら私は口をつけないから先にBettyが口をつけてね。睡眠薬が入っていて Bettyが眠ってしまったら、Bettyの方が小柄だから、私がなんとかBettyを連れて帰るから」

それでいいのか??(´Д`;)  じゃあ、それでいいよ。行こうか。かなり時間が経ってしまった。

友達があまりに泣きそうに心配するので、私も下で彼に会って、もう1度あらためて彼を私の中の危険度メーターにかけてみよう。

やはり、OKだ。

「待たせてごめんね~」

不安な友達と、ワケのわかっていない彼と共に、バスで彼の家へGo!

…つづく

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