ヤギの儀式を見る前に話は戻る。
カーリー寺院は参拝者ですごい人で、油断していると一瞬で迷子になりそうだった。そんな私達の心を見透かしたように、寺院に足を踏み入れてから0.5秒でどこからともなく怪しいインド人Aが魔法のように現れ、案内を買ってでてくれた。
「これこれ旅人、寺院の中は土足厳禁だよ。靴を脱いで。それから、カーリー様にお供えする花を持って。これだよ。祈る場所は、こっち。ついてきて」
そらキター!出~た~な~、インド人~っ。出ると思ったよ!(゚∀゚;)
しかし、すごい人でまともに歩けないし、言われるまま適当に案内してもらうことにした。タダのふりをしながら、きっと後でとんでもない金額を要求してくるに違いないんだけど。そのときは適当に何ルピーか払ってずらかろう。
靴を預かってもらい、友達と2人で彼に案内してもらう。
額に赤い点をつけられ(お約束だね)、お供えの花をもらい、祈り方など教えてもらう。適当に祈った後、奥の広場に案内され、ここでは私達のために祈ってくれるという。
ここは学校のプールか?水の入っていない屋外の50mプールのような四角くダダっ広いスペースがあるだけの祈り場(?)だった。
「ここは神聖な所なんだ。順番に祈るから、1人づつ来て」
1人づつなのか?友達に先に行ってもらい、私はここで待つことにした。友達とインド人Aがプールの向こう岸へ行き、何やら祈る。
待つ。
待つ。
待つ。
…長いなぁ、何してるんだ、友達とインド人A!?
怪しい!!友達はインド初体験なんだ、しまったぁ、私が先に行けばよかったぁ。もしかして、「祈ってやったんだから、お布施100ルピー払え」 とかなんとか、法外な金額をふっかけられて対応できないでいるのかも知れない。
有りうる。インドなら、180%ぐらいの確率で有りうるぞ~。1人ずつ祈る、と言われたが、無視して友達の元へダッシュだ!
…と、思ったら、ちょうど友達と悪の手先Aがこちらへ帰ってきた。
「どうしたの?長かったね。何してたの?」
「うん、私と家族のことを祈ってくれたんだけど、お布施を強要されたよ~(T∀T)」
うぉぉ、やはり!
「で、いくら?」
「うん、1000ルピー」
ど っ ひ ゃ ~ っ !! いっせんるぴーだとぉぉ!? ( ̄ロ ̄lll)
※参考:私達の泊まっていた部屋のの料金は2人で1泊200ルピー、チャイが1杯2ルピー
私の予想を遥かに超えていた。ヒンドゥーの神をも恐れぬその法外なフッカケ金額は何だ!?人をなめクサるにもほどがある!完全にナメられている。
「何ぬかしとんねん、おっさん、人をなめクサっとったら、口から手ぇつっこんで奥歯ガタガタいわしたろか」 とか 「どたまにストローつっこんで脳みそチューチュー吸うたろか」 とか言いたかったのだが、関西弁のニュアンスを英語に変換するのは高度なワザを要するので、ここは普通に火を吹いてバトルしておいた。
まぁ、祈り方も教えてもらったし、お供えの花ももらって靴も預かってもらったので、ふっかけてくるだろうけど、いくばくかのルピーを渡せばいいだろう、と決めていたのだが、もう1ルピーも払う気は無いぞ~。
「そんな金額、払わなくていいからね。払ってないよね?」
「いや、一応頑張って半額に値切って、でもそれ以上値切れなくて500ルピー払ったよ」
ど っ ひ ゃ ~ っ !! 払っちまったんどすか!? ( ̄ロ ̄lll)
私は花を悪の手先Aに投げ返し、友達の手を引いて即刻プールから立ち去る。
この寺院ではヤギだけが餌食になっていると思ったら大間違いで、実は私たちがインド人のおいしい餌食になっていたのだった…_| ̄|○
と、思ったら、ここで問題発生!!
しまったぁ。私は裸足だ。さっき、インド人のフリをした悪の手先Aに、靴を預けたんだった。あぁ、方向音痴の私、しかも、この人混み…。靴の在りかがワカラナイ。
今さっき、さんざんすごい勢いで火を吹いてバトルし、悪の手先Aをビビらせたので、素直に靴を返してくれるかわからない。その前に、靴の置き場もわからない…(´Д`;)
…どうしよう。裸足で帰るか?
と思ったら、悪の手先Aはインド人Aに戻り、素直に靴を返してくれた。
ん~、良いヤツなのか悪いヤツなのかわからない…。