■ 香港経由、旅たびアジア

インド死闘編タイトル

< 生贄の儀式 >

ヤギとヤギ追い

朝からカーリー寺院は、すごい人だった。今日は日曜だからだろうか?それともカーリーは、超人気の神様なのだろうか?

カーリーは、血と生首を好む殺戮の女神なので、こんな姿をしている。 ※下の絵参照

生首でできたネックレスを首に下げ、腰には手でできた腰蓑(?)をつけ、夫であるシヴァ神を踏みつけながら、なぜか舌を出して殺戮を繰り返している。いかにも、ヘヴィ・メタルな人が好みそうな絵柄だ。

そんなワケで、私としては行ってみなければいけないだろう、カーリー寺院。

しかし、カーリーがこんなに人気の神様だとは知らなかった。すごい数の参拝者たちで、とんでもなくごった返していた。

ここでは、血を好むカーリーに捧げるため、生贄の儀式が行われる。生きたヤギの首が捧げられるのだ。毎日。

ウソかと思ったら、本当なのだった。生贄の儀式はあっちだよ、と近くにいた参拝者に教えてもらう。

いた。地面が血にまみれて真っ赤なので、すぐにわかった。

断頭台と、死刑執行人(?)と、サリーを着た女性信者と、信者に連れられた順番待ちのヤギ。まだ仔ヤギだ。かわいい黒い仔ヤギだった。既に地面が血にまみれて赤かったので、これが何匹目かの生贄のようだ。

儀式の前、生贄を捧げる信者が、自分の持ってきた仔ヤギに水をかけて清める。仔ヤギは自分がこれから殺されることを知らないのか、機嫌よくおとなしくしている。

これから儀式が行われるのだ。

信者から執行人の手に仔ヤギが渡される。執行人は仔ヤギの前足を後ろ手に束ね、断頭台にヤギの首を乗せた。ここで初めて、びっくりした仔ヤギの泣き叫ぶ声が響き渡る。

メエェェエエェェ、メエェェェェエエェェという声に、太鼓を打ち鳴らす音がかぶる。太鼓の音が儀式を盛り上げ、仔ヤギの泣き叫ぶ声が哀れを誘った。

次の瞬間、執行人の手に持ったナタが ヤギに向かって振り下ろされた

一瞬だった。
瞬きをするほどの瞬間で、ヤギの首が地面に転がり落ちた。
太鼓の音が止んだ。

首がなくなった頚動脈から、まだドクドクと赤い血が流れ出ていた。
たった今まで生きていたのだ。
地面に横たわったヤギの胴体は、もがくように4つの足が空を蹴っていた。

先ほどの清めの水とヤギの血が混じった赤い水が裸足の私の足の裏を汚した。


異文化だ。私はドキドキして、固まったまましばらく動けなかった。

これでカーリーは満足なのだろうか?そして信者には幸せが訪れるのだろうか?ヒンドゥの信者でない私には何とも言えなかった…。しかし、これは神聖な儀式なのだ。そしてカーリー寺院では、このような儀式が毎日行われている。

インドでは、ヤギに生まれてくるのと牛に生まれてくるのとでは雲泥の差だ。
次回はヤギでなく、牛に生まれますように。

※写真と本文は関係ありません


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