インドには、インド人に混じって様々なものが普通に生息している。今回行ったバラナシでは、インド人、野良牛、野良犬、野猿、野良ヤギまたは野良羊などなどが普通に道端に渾然一体となって生息していたが、これらはもしかして、飼い牛、飼い犬、飼いヤギなのかも知れない。数匹のヤギは、人間の子供のお下がりと思える洋服を着せられて嬉しそうにしていたからだ。
特筆すべきは、牛だった。
それはもう、とんでもない数の牛がのうのうと町中を席巻していた。その数といえば、人間と同じぐらいいるのではないか、と思えるぐらいの数なのだった。
インド人だと思ってついうっかり道を尋ねたりすると、それは牛だった、なんてこともあるくらいだ。もう、どれが牛でどれがインド人かわからない。インドを歩く人は、要注意。
インドの牛は、写真にあるように、日本によくいる白黒のとは違い、全身真っ白な牛か、全身真っ茶色の種類のがポピュラーだった。それに加えて水牛も多数。ガンジス河で、沐浴と見せかけて入浴をする人々…シャンプーする、石鹸で体を洗う、歯を磨く…等々の隣で群れになってシャンプーする、体を洗う、歯を磨く水牛たち。ちなみに、ヒンドゥー教で 1~2を争う人気のシバ神の乗り物は、真っ白な牛、ナンディ様。
というわけで、シバ神の乗り物として神様グッズの仲間入りをしている牛たちは殺されることはないので、調子に乗ってブイブイ増殖し放題。
ここで注意しなければいけないのは、地雷だ!
これだけ飼い牛・野良牛がうじゃうじゃといるのだから、道端は地雷だらけ( ̄ロ ̄;)
乾いているものは、匂いも無く固まっているので安全なのだが、要注意なのは出来たてのホヤホヤの地雷だ。うっかり踏んでしまうと、ニュル~っと滑って汚い、あ、いや、危ない!私は何度ニュル~っといったか!サンダルは素足なので特に危険だ(T∀T)
しかし、そんなことは日常茶飯。汚いなぁ…などと言っていられないインドなのであった。
だが、人々は積極的にこの地雷を利用しているようだった。建物の壁や道端に、丸められた物がきれいに並べて乾かされている光景をよく見かけた。
よく見ると、それらは思いっきり手形がついていたので、素手で丸めて貼り付けたものと思われる。何に使うのだろうか?この写真の家の壁は、地雷に埋め尽くされているのだ!見えますか、皆さん。このような壁が至るところに…!
レストランの隣に、このような地雷だらけの壁の家なんかがあったりして、乾いているので匂いはしないが、乾いた破片が粉となって今にも私が食べようとしているカレーの中に飛んできて入っているんじゃないか、と思って、気が気じゃなかったのだった…。しかしインド人は誰もそんなこと気にしちゃいない。きっと、地雷を丸めて壁にペタペタ貼り付けたその手でカレーを食べているのに違いない。人間、慣れれば何でもOKだ。
しかし、ここで悲しいニュースが…。
聞くところによると、近頃ではあまりにも牛が増殖しすぎてじゃまになったため、首都のデリー市内から野良牛は追放、という政策が取られているようだ。なんてこったぁ!可哀相じゃないか、お牛さま。インド人は牛を食べないので、追放された牛は一体どうなるのか?
ぜひデリー市内に留まって引き続きブイブイいわせてほしい、お牛さま。
← ガンジス河のほとりで、地面の上で乾かされる地雷