■ 香港経由、旅たびアジア

香港生活編タイトル

< 嘘ツキマシタ… >

ノラ猫

石橋を叩いて渡る性格の私は、行き当たりばったりの勢いだけで来港したワケではなく、密かに着々と水面下で準備をしていた。

しかし、会社に退職の旨を告げ、両親にも香港行きを告げると、予想通り、両親そろって鬼のように香港行きを反対してきた。

 

まぁ仕方ないか、私の親の時代の人間は、「女性が自分から1人で海外に住むなんてとんでもない」…という考え方が一般的だと思われる…。

両親だけでなく、普段眠っていた親戚一同も、わらわらと突然ゾンビのように起き上がってきて、みんなで寄ってたかって私の香港行きを阻止(゚∀゚;)

自ら何度も現地に足を運んで治安を確認し、すぐに香港で仕事できる程度には広東語も身につけ、仕事も住む所も先に確保済みで、最初はホームステイだから何も心配は要らないと言ってるのに…

「いや、香港なんて、売り飛ばされて行くところやんか。危ない、やめときなさい」

って、今どき、「売り飛ばされて」 って…。いつの時代やねんっ(´Д`;)

しかし、それとは対照的に私の友達一同は、ほとんどみんな揃って私の香港行きを前向きに捉え、喜んで励ましてくれたのだった。 その中の1人は、私に触発されて本気で北京留学を決めてしまったぐらいだ。

この、あまりにも顕著な世代間の考え方の違い…。

自分で決めたことは絶対に曲げない私の性格を知っている母親は、 私の香港行きを阻止するため、ここで予期せぬ作戦に出たのだった。

それは、「いい人がいるから、お見合いしなさい」 だった。

えぇっ予想外の展開!今まで1度たりとも、そんなこと言ってきたことなかったのに!( ̄ロ ̄;)

甘い。甘すぎる。
そんなモンごときで私の香港行きを阻止できると思っているのだろうか。20代後半の独身女が誰でも 「今すぐ結婚したい」 と思ってるなんて、甘いぞ。人によっては、そんなことよりも優先事項があるのだ。

「会ってもいいけど、もう香港行きは決まってるから、100%断るよ」
「断ってもいいから、会いなさい」
…会いなさいったら、会いなさい(;`O´)

そんなお見合いは失礼じゃないか…と思ったが、母親を説得するために、会った。

果たして、彼はとても真面目で誠実ないい人だった。 高校の先生をしていた。

とても 「ひやかしで会いました」 とは言えない雰囲気だったが、適当なことを言うのもかえって失礼なので、正直に香港行きを伝え、失礼を詫びた。

しかし、予想外に彼は私のことを気に入ってくれ、彼なりの妥協案を出してきた。
「2年間だけ待ちます。香港で過ごして2年後、必ず大阪に戻ってきてくれるなら結婚はそのあとで構いません」

あぁ、ごめんなさい…。私が2年で香港を離れられるワケないじゃないか(;´□`)

私は香港行きのための準備を、既に2年以上もかけて行っていたのだった。既に5年勤めている社内報の副編集長という素敵な仕事を辞めての渡港なので私なりに決心は固く、たかが2年で帰ってくる自信はなかった。 もっと長く香港に住むつもりに決まってるじゃないか。

…ということを正直に伝えた。

そして彼はわかってくれ、両親はあきらめ、私は予定通り香港へ移住。

あの時の誠実な彼が、その後、私よりももっと素敵な女性と出会って 幸せな家庭を築いていますように…。

そして私はといえば、両親には説得がてら、「1年で帰ってくるから」 と、とんでもない大ウソをついて香港へ飛んだのだった。

「1年で帰る」 なんて、そんなことハナから嘘に決まっていたのだった。
お母さん、ごめん(*´∀`)

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