■ 香港経由、旅たびアジア

香港生活編タイトル

< 通過儀礼 >

お寺

香港では専業主婦というのが存在せず、共働きが普通なので、「女がご飯を作る」という概念もなく、一般家庭でもフィリピン人やインドネシア人等のメイドさんを雇っているのが普通である。

これは、特に金持ちの家庭がメイドさんを雇うという感覚ではなく、一般の人が安く住み込みのメイドを雇い、昼間働きに出ている間、家事・子守り・犬の散歩までこなしてもらう、というのが一般的だ。香港では既にそういうメイドシステムが確立している。

日本もそんなメイドさんシステムが普及していたら、もっと子供を産む人も増えるのになぁ、と思う今日この頃…。

私のホームステイ先は、お父さんとお母さんが共同でレストランのオーナーだったので、現場は従業員に任せて2人ともぶらぶらとしていられる身分だったのでメイドを雇わず、家事一切は2人で協力してこなしていた。
夕食はお父さんとお母さんが毎日交代で作ってくれるのだった。これが、中華レストランで食べるのと変わらないぐらいのおいしさ!

毎日、おいしい中華三昧の日々だぜ、みなさん! (^¬^)

私はできるだけ夕食は家でホスト・ファミリーと一緒に食べていた。お父さんとお母さんと中学生の娘と私。なんだか、とっても嬉しかった。また、食卓でいろんなことをしゃべりながら食べるので、自然と広東語の勉強にもなった。

しかし、毎日中華。昼は昼で、香港人の同僚とオフィスの近くの店で中華。毎日、毎日、毎日、中華。来る日も、来る日も…以下省略。

私は日本に居た頃、家で自炊するときは毎日和食を作っていたので、そんな食生活から突然、思いっきり中華三昧な生活に体が順応できるワケもなく、ある日突然、体が全く中華を受けつけなくなってしまった!( ̄□ ̄;)

だって、本場の中華って、日本で食べるのとは全然、油の使用量が違うんだもの!日本の中華なんて、かな~り日本化されていて、あれは中華なんかじゃない、と思ってしまうぐらいだ。

なんせ、油の中に肉や野菜が浮かんでいる。私は器のヘリで油をギュ~っと絞って、できるだけ油を落としてから口に入れるようにしていたのだが、そんなことしても追いつかないぐらい油の量が多い!なんでこんなに油を使うねんっ、何か間違ってるぞ君たち…と言いたかった。

なんせ、突然体が中華を受け付けなくなってから、中華の匂いを嗅いだり油の匂いを嗅いだりするだけで何かウッとこみ上げてきそうになり、食欲がなくなるのだった。道を歩くときも、丸焼きの豚を吊るしている横を通るときは息を止めて歩いた。

食欲が無い間、なんのかんのと理由をつけ、なるべく家では夕食を食べないようにし、公園で密かにさわやかなヨーグルトなんかを食べて家に帰ったりした。

そんな日々が1週間ほど続いた頃、このままではヤバイ…と思った私は、私が何か好きなものを作ればいいんだ、と思いついた。中華以外なら何でもいい!

なぜか理由もなく、無性にポテトサラダが食べたい、と思った。材料を買ってきてジャガイモを茹でて潰したところまではよかったのだが、さて調味料を和えようと冷蔵庫を開けてみたらなんと!全くどこにもマヨネーズが見当たらないのだった!

この家にはマヨネーズも無いのかよ! 。゜゜(´□`。)°゜。

骨の髄まで何がなんでも、死んでもあの世まで中華しかないのかよ! お父さんお母さん、たまには中華以外のものを作ってもバチは当たらないと思いますぅ。私は無心で裏のスーパーまでマヨネーズを買いに走った。
…どないやねんっ。

そうやって、できるだけ油ギットギトの中華を避けて1週間を過ぎた頃、私の体の中の 「中華禁止令」 は治まった。

友達に聞いてみたら、やはり同じ経験をしている人は多かった。
通過儀礼だったのか?

なぜかその 「中華禁止令」 の地獄の1週間が過ぎた頃、香港という街に 「住んでよし」 と許可を受けたような気がした。

来港してから2ヶ月が経っていた。

あれからは毎日中華を食べ続けるようなマネはしないようにしている。
家では和食、友達と外食のときは、ベトナム・タイ・インド・イタリアン・その他諸々、そして時々は飲茶、日本から友達が来たときは中華、そうやってグルメ街道を突っ走っていった結果、私が得たものは、私の体全体を豊かに覆う 「脂肪」 だった…( ̄ロ ̄;)

▲PageTop

Copyright © 2005-2010 香港経由、旅たびアジア By Betty. All rights reserved.

inserted by FC2 system