アロイの出現から、私はこの渡り廊下を通るのが楽しみになり、特に通る用事がなくても回り道してまで
この渡り廊下を通るようになっていた。
だって、ここの犬は自由になる犬なんだもの!(´∀`)
ある時通りかかるとアロイが昼寝中で、私ががっかりしていると、
「こら、起きろ、アロイ。お姉ちゃんが遊びに来たぞ」
などと、わざわざ寝ているところを起こしていた。
…いや、そこまでしなくても(^-^;
いつも私がアロイと遊ぶので、飼い主の浮浪者だけでなく、その隣近所のダンボール住まいの浮浪者とも顔見知りになってしまった。大きい人と小さい人がいたので、私は密かに「阪神巨人」と呼んでいた。
私が通りかかって、アロイがいなくてがっかりすると、
「あぁ、今ちょっとアロイは出かけてて留守だよ。10分ぐらいで戻るよ」
などと巨人が教えてくれる。
…あ、そうですか、ありがとう(^o^;
飼い主だけでなく、アロイは回りの浮浪者達にもかわいがられているようだった。
どんな人に飼われようと、かわいがってくれる人に飼われている犬は幸せだ。
たとえ飼い主が貧しくても、私のように、通りがかりの犬好きな人がミルクティーや白切鶏飯やその他もろもろ…を与えてくれるのに違いない。しかし、おじさんは一体どうやって暮らしているのかな?
…と思ったが、おじさんには興味がなく、犬にしか興味がない私は、はっきり言ってそんなことどうでもいいのだった…(´▽`)ゞ
いざとなったら、私がおじさんにも白切鶏飯買ってあげるよ…。
ある時、アロイが藁かゴザのようなものにぐるぐる巻きにされて横たわっていた。私が顔を見せても起き上がって来ない。一体どうしたんだ!? 今日は私と遊んでくれないのか!?
「今日はこいつは風邪をひいて寝てるんだ。ごめんよ。元気になったらまた遊んでやってくれ」
そうなのかぁ~。。。
医者に診せるお金が無いからか、アロイはおじさんに香港では有名な保済丸という人間用の薬を飲まされていた。
その、ぐるぐる巻きの簀巻き状態がかなりマヌケなんだけど、素直に巻かれて横になっているアロイを見ていると、おじさんに心底かわいがられている様子が伝わってきてほのぼのとした。
早く元気になってまた遊んでね、アロイ~。
しかし!
そんな私とアロイの蜜月(って、いつから蜜月やねん!)も、ある日突然、終わりを告げるのだった…。