■ 香港経由、旅たびアジア

中国編タイトル

< 村へ 1  -出会い- >

小屋の中の坊さん

西双版納の中の、さらに端っこのターモンロンという村へ行く途中の恐怖のジャンピング・バスの中で、1人の、村出身の女性に出会った。

脳みそと胃の中をぐるんぐるんに撹拌される試練に耐えていた私達をよそ目に、彼女達は平然と談笑しながら、買ったばかりの衣装(水かけ祭用?)を仲間同士で嬉しそうに見せ合ったりしていたのだ。

バスがジャンプする度に 「うぉぉ~ぅ!」 などと叫ぶ私達を振り返り、「あらまぁ、慣れない旅人は大変ね」 と言わんばかりに和やかな笑顔を送ってくる村人。その中の1人のお姉さんが、私の隣の席に移り、話しかけてきたのだ。

「あなた達はどこから来たの?」
日本です、でも、香港に住んでるんです、と答えると、「生の日本人と初めてしゃべった~」 というような事を言って感激された。

「あんな村まで一体何をしに行くの?面白いものなんてなーんにも無いよ、あんな所」
と言う。しつこく、繰り返し繰り返し、言う(´∀`;)

いいんです、なーんにも無いのを見たいの。普通の村人の生活を見たいんだから。

お姉さんは、24歳で、ただいま新婚のようだった。自分の夫のことを 「夫」 ではなく、「私の愛する人」 と呼んでいた。

お姉さんの住む村は、今から私達が行こうとしているターモンロンの中心地(と、言っても、とんでもない田舎)よりも更に奥地の小さな村だった。180世帯ほどが住む、こじんまりした村のようだった。

その中の1世帯がお姉さんの新婚家庭で、なんでも、結婚するとき、親兄弟・親戚・友達みんなから大反対されたそうだ。友達はみんな昆明や景洪等の都会(?)へ嫁いで行ったのに、何をすき好んでそんな何もないド田舎の村へ嫁いで行くのか?

お姉さんは、どうしても好きな人ができたから、と答えた。いいなぁ~、ほのぼの~。そんな人に出会えてよかったね(*^‐^*)

バスがあまりにガタゴトとジャンプするので、舌を噛みそうになりながらしゃべる。

「ちょうど今から10日後に、この土地の最大のお祭り、水かけ祭があるんだけど、それを見に来たんでしょ? 絶対見て帰ってね。すごく盛大で楽しいから!(゚∀゚)」

え、いや~、でも、ただのOL旅人の私達には、そんなに休みが無いんだな、これが。しかも、なぜ、せっかく10日後に水かけ祭があるのに、わざわざそれを外すように今この地に来ているかというと、今が香港の連休だからなんですぅ。私がいつ旅に出るか、私が自由に決めているんじゃなくて、香港政府がお決めになっているんでございます。毎年その年の連休を最大限に利用して旅に出る私…。水かけ祭の前には、香港に戻らなければなりません。許しておくれやす。

「えぇ~っ、なななんでぇ~!?あんなに楽しいのに~、水かけ祭り!」

って、言われても…(T∀T)

「ぜひ、あと10日、滞在していってよ~。村中あげてのお祭りで、みんなきれいな服を着て思いっきり水をかけあって、すんごく楽しいんだから、ぜひ、見ていってよ!」

って、言われても~。あぁ残念です、心の底から(T∀T)

そういえば、ここはタイ族の自治州なのだった。タイでは毎年4月に水かけ祭が行われ、特に北部では、水のかけ合いがすさまじいらしい。観光客はうっかりカメラなんか持って町を歩かないように。私は、4月のラオスでも、小坊主に水をかけられた。観光客に水をかけるヒマがあるなら修行しろと言っただろう、小坊主!

私はその最大の水かけ祭が見られなくてとても残念だったが、お姉さんの方がもっと残念そうだった。せっかく遠方から来た外国人に見ていって欲しかったらしい。

あぁ、私も水をかけれたいのは山々でございます…(v_v。)

「あ、じゃあ、いいことがある。あなた達にもっと楽しんでいってもらいたいから」

そして、お姉さんが私達に素敵な提案をしてくれた(゚∀゚)
さらにお姉さんとのふれあいは続く。バスはガタゴトと悪路を走る。

つづく

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