西双版納(シーサンパンナ)の空港へ向かう足を捜していた私は、バスではなく、たまたま通りかかった車に拾ってもらって空港へ向かうことにした。
通りかかったバンの窓から、1人のお姉さんが顔を出して
「どこへ行くの?空港までだったら同じ方向だから乗せていくよ」
と声をかけてくれたのだ。
ありがたい。バスはいつ来るかわからないもの。この地域ではよくあることなのかどうかはわからないが、これって、ヒッチハイクの逆バージョンだよね?
しかし、値段は交渉制だ。ま、いいよ、バスより早いし。
助手席にはお姉さんの友達か同僚と思われる女性が乗っていたが、別に私達を一緒に乗せていくことは全然気にしていないようだった。このアバウトさがいいなぁ。臨機応変というか。
お姉さんは隣の友達とひっきりなしにしゃべっているが、時々私達の方にも話しかけてくる。いいなぁこういうの、フレンドリーで。
フレンドリーはいいんだけど、飛ばす飛ばす。前の車を抜かす抜かす(゚∀゚;)
そういえば、聞いたことがあるぞ。ここら辺のバスやタクシーは、とんでもなくスピードを出して飛ばしまくり、いたるところで日々チキンレースさながらの光景が展開されているということを。時々、目測を誤ったバスが崖下に転落する。
旅行者は気をつけるべし、というが、一旦乗ってしまったらもう運命は運転手に委ねられており、気をつけようが無いのだ。
大丈夫か、お姉さん??安全運転でお願いします(´Д`;)
私が密かに心の中で念じていた先程から、私の心配をよそに、お姉さんはビシバシ前の車を追い越しまくっていたが、トラックの群れを追い越そうと対向車線に入り、ぐんぐんスピードを上げていたその時、なんと、対向車がやってきたのだ!!!ヽ( ̄□ ̄;)ノ
横はトラックの群れで長い列になっている、よけられないぞ~!悪いのはこちらなのだが、ここでお互いにブレーキを踏めばいいんじゃないか?
しかし、なんとビックリなことに、こちらも相手もブレーキを踏む気配が無い!!
Oh、no~!(」゜ロ゜)」
向こうは、すぐ後に後続車がいるのかも知れない。こちらがブレーキを踏めばいいんじゃないか?何をしてるんだ早く踏んでくれ、お姉さんっ!!死ぬぅ~!!!
もう死ぬ!と思った瞬間、トラックの群れが先へ行ってしまい、相手の車がこちら側の対向車線に逃げてくる形で、ぶつかるギリギリの所でお互いにブレーキを踏んで止まった。
やっぱり、チキンレースじゃないか~!!(T∀T)
この間、ほんの数秒だったのかもしれないが、とても長い時間のように感じた。対向車がやってきて、お互いがぎりぎりでブレーキを踏むまでの光景が、なぜかスローモーションで頭の中で展開されていた。
ムンクの叫びのような顔の私達と、「あ、ごめんごめん」 ってな感じでとっても軽いお姉さんと対向車のおじさん。
えぇっ、死にそうだったのに、なんでそんなにニコヤカなんだ!?その反応はちょっとおかしくないか? こんなことは日常茶飯事なんだろうか?それとも、ここの地域の人達は生まれつき命が2つあるとでもいうのだろうか?
お姉さん、わかっていますか、私達の命は1つしか無いんです、そこんとこヨロシク。
速攻でシートベルトを締めるお姉さんと、その友達。「これで安心だわ」 って、後部座席の私達にはシートベルトがないのだった。
おい、アンタらダケかいっ!? (;´Д`)ノ
「あら、ごめんね~、これからちょっと、安全運転で行くわね」
…心の底からお願いします(T∀T)
乗ったときは、逆ヒッチハイクなんてほのぼの~、って感じだったのに一気にスリル満点の恐怖の瞬間と化したジェットコースターのような空港への旅だった。
しかも、空港へ着く少し前に、別の場所に止まり、助手席の友達が降りていった。なんだ、友達じゃなくて、これも逆ヒッチハイクでひっかけた客だったのか~。
また異文化を体験してしまった。これだから旅はやめられない。
もちろん、空港へは、予定より 「大幅に」 早く着いた。